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プロの視点

物流システム導入事例 「物流システム導入の失敗回避法」

08/11/04>>株式会社イー・ロジット チーフコンサルタント角井亮一 監修

少し前の話ですが、ある物流センターで数十億円掛けた物流システムがまったく稼動せず、
たくさんの現場スタッフが手作業に追われているのを見る機会がありました。


搬送コンベアや自動ソーターは止まった状態で、作業導線は入り乱れ、
スタッフの顔には疲労感が漂っていました。


センター長に「システムの故障か何かなのでしょうか?」と聞いてみると違うらしく、
システムは問題ないのですが、現場スタッフがシステムを受け入れず、稼動していないとのことでした。


このようなまったく稼動しないケースも含め、期待通りに稼動しない、使い物にならないなど、
物流システムの失敗事例は実は以外に多いものです。


我々は仕事柄こうした現場を拝見する機会もあるのですが、失敗事例の多くは公表されることはなく、
また、失敗した原因を明確に説明するのが難しいという性質もあり、
お目にかかることは少ないのでは無いでしょうか。


本稿では、物流システム導入を失敗しないために、システム企画をどうすれば良いかを考え、
物流システムを導入する方の参考にしたいと思います。


物流システムの失敗内容


この他にも、集めると結構色々出てきます。
読者の皆様も思い当たる内容があるのではないでしょうか。


aやb、cは期待したシステムの効果が現れなかったということで、
dやeは自社の実情に合わないということになります。

両方ともシステム企画を行う上で、自社の現状を調査・分析して、システム化によって
実現すべき機能を具体的に設定していく過程に問題があったのだと思います。


システム開発を3つのフェーズで

1.要件定義
2.業務仕様設計
3.システム開発

とに分けると、1と2の部分で企画した内容が不十分であったと、考えられます。

物流システムの失敗内容

1.要件定義は業務運用の条件設定が不十分、利用部門が参画しない、
課題解決を先送りにするなど、システム企画に必要な条件を十分に議論せず、
次のフェーズに移ることで問題が生じます。


机上案を実業務に落し込むために、現場スタッフへの十分なヒアリングも通じて、
商品の形状・寸法・重量等の“物”の条件、通路や作業場等のスペースや作業性が
影響する作業の“流”の条件、ピーク時に発生する商品の“量”の条件も考慮した企画が必要になります。

2.業務仕様設計では、仕様がいつまでたっても決まらないとか、現行業務分析の不備が発覚し、
システム設計に進めないなど、課題未解決のまま開発フェーズに移行してしまうという問題があります。


繰り返し全体の流れを確認し、物流現場設計の基本的な考え方である、
「考えない」「探さない」「迷わない」、「整理」「整頓」等基本事項の確認と、
商品に触れる回数は最小限に抑えているか、端末への入力回数や入力項目は
最小限に抑えているか、出荷指示の変更・追加への対応をスムーズにできるか、なども重要な検討項目です。

物流現場は、システムと人、スペースの親和性や関連性を、十分に考慮する必要があります。


ここまでのフェーズでよくある失敗事例として、物流機器の導入がいつしか目的になっているケースです。


本来の目的は、現在よりも、より良い現場作りであって、けっして物流機器の導入ではないはずです。


物流機器メーカーやハードメーカーが、自社商品の提案に陥りがちになる傾向は否めません。


第三者的な立場で意見が言える、経験豊富なコンサルタントに参画してもらうのも、1つの方法かと思います。

ただし、コンサルタントも個別企業の全ての業務に精通しているはずはありません。

そのため、外部からでは分からない自社の実情を十分に理解した自社のプロジェクトチームに
外部コンサルタントを加え、自ら企画・設計する姿勢が必要であると考えます。

そして、最後に3.システム開発のフェーズでは、前述のようにシステム設計ができず、
改めて、利用部門に要件定義や仕様設計を確認し直すことになり、
開発スケジュールに遅延が生じることがあります。


いつしか、「より良いシステムを構築すること」から「納期を死守すること」へ目的が変わり、
開発者も“現場の視点”を見失う状況になりえます。


機能レベルを落とした上に、操作性まで落としては、現場の負担は増えるばかりとなり、
物流システムの導入が失敗することになります。

以上のように、自社の現状を調査・分析して、システム化によって実現すべき機能を
具体的に設定していくために、物流システム導入の背景や目的、物流システム導入による
効果やその目標値を設定し、自社の現状から将来の姿を描き、その方法を良く検討する必要があります。


投資内容や投資規模と投資効果の検証、プロジェクト体制の整備、無理・無駄・ムラのない
スケジュール設定と今後の展開を考慮し、失敗のない物流システムを導入して頂きたいと思います。

株式会社イー・ロジット チーフコンサルタント 角井 亮一 氏
角井 亮一 氏

1968年(昭和43年)10月25日生まれ。上智大学経済学部経済学科を3年で単位取得終了し、渡米。ゴールデンゲート大学MBAをマーケティング専攻にて取得。帰国後、船井総合研究所に入社。その後不動産会社を経て、光輝グループ入社。 光輝グループでは、物流コンサルティング及びアウトソーシング、を主な活動分野し、日本初のゲインシェアリング(成功報酬型アウトソーシング、東証一部企業)を達成する。 2000年2月14日株式会社イー・ロジット設立、代表取締役に就任する。

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