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プロの視点

本日の改善のキモ「現場力による改善の対局にあるもの~リスクマネージメントとは~」

09/06/29>>實藤 政子 氏

経済のグローバル化で巻きおこされた金融不安、マスコミにあおがれて相乗されるデフレスパイラル。
グローバルスタンダードを求め他国を締め付けながら、一方、自国では加熱したマネーゲームの
無責任な結果で世界中を不況に陥れるアメリカ。

そんな「虚像」のグローバルスタンダードにいつまでも従順についていくだけの日本。

今の欧米的経済システムは本当に正しいのか。これだけの日本人の技術力・勤勉さがあるのだから、
日本的経済安定システムを独自に創造できないものなのかと思う。
今こそ目覚めて「日本力」を発揮するときではないかと提言したい。

これは、一般的な問題であるが、ロジスティクスの分野でも全く同じことが言える。

欧米的なビジネスルールに「コンプライアンス」というものと「リスクマネージメント」というものがある。
ある大企業で、管理職向けのリスクマネージメント講座といったものが外資系コンサルタント会社に
委託して定期的に研修会が行われている。

当然、物流部幹部社員も参加している。これを受け、物流部でもアウトソーシング先に対する指導や、
社員に対する指導も「リスク」という観点から検証するという運用ルールが作られた。
品質・環境・労働安全衛生に関するリスクが中心であるが、
ロジスティクスの現場で「品質」「環境」「労働安全衛生」というと、全ての活動が包含されてしまう。
そのため、現状変化に関する改善活動に関しては、リスクの観点から常に事前に検証されることとなった。

これを受け、改善の提案から実行までリスクに関して責任者(センター長)の検証が入ることになった。
現場からの声を、今までは現場責任者レベルで実行に移せていたものが、
一旦センター長へあげて許可が必要になったのである。

これ以降が問題なのであるが、センター長は、リスク判断に際して、
まず一次判断としてどのような改善提案がリスクを招くのかの基準を個々に判断することに
困難を感じていた。

結果、全ての改善提案について関係者を呼んで会議を開き、リスクの観点から検証することになった。
会議では、提案者から改善提案に至った状況の説明、改善の内容、効果などの説明が必要になった。
提案者は現場の作業者が中心である。日々の実際の作業を中心に改善を考えているため、
リーダーやセンター長に「理論的に」効果などを説明することは苦痛であることが多い。

しかも、本当に効果があるのか、と聞かれても、効果が有るか否かなど、やる前から分かるわけがない。
自然と、改善提案を上げる人は少なくなり、リスクに対する検討会、会議の連続も減っていった。

センター長は苦痛な会議が減ったことにほっと胸をなで下ろしている。
しかし、センター活動としては改善が減り、活気も落ちたように見えた。
みるみる生産性も落ちていった。センター長には、別の悩みが増えたわけだ。

物流センターのリスクマネージメント適用場面での危険性

リスクをおそれると機動力が無くなる、しかし、無防備な実行計画や管理体制では
企業の危機を招く事になりかねない。ということであろうが、ロジスティクス、特に物流センター内での
改善にリスクマネージメントをどこまで適用すべきなのか、という点を充分に検討した方が良いのではないかと思う。

そもそも、リスク回避は「何故」必要なのかという原点から始めるべきである。

今回は、物流センターに関してのリスクマネージメントの適用場面での危険性を書いたが、
日本の企業のリスクマネージメント、コンプライアンスは、本当に企業力を強化することに役立っているのか
疑問に思うことがしばしばである。

リスクやコンプライアンスの言葉を盾にして、手続きを不要に複雑化することで、
機動力を失ってしまうのではないか、「心配」が前に立って、チャレンジする精神そのものが
削がれてしまっていないかと感じる。

これこそ、日本人を骨抜きにする欧米の謀略では無いかと疑ってしまう今日この頃である。




物流コンサルタント 實藤 政子 氏
實藤 政子 氏

九州大学法学部法律学科卒業。全国の物流センター立ち上げ支援のため、WMSのシステム開発および物流改善を行う。3PL、冷凍倉庫業者、食品製造・卸売業、アパレル業者など、約120センターのコンサルティング・センター構築の実績を持つ。(社)日本ロジスティクスシステム協会認定「ロジスティクス経営士」。
著書に「WMS入門」日本工業出版「WMS導入と運用のための99の極意」秀和システムなど、その他SCM関連寄稿多数。

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