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プロの視点

アメリカ流通業の最新動向(10)「マルチチャネル戦略のハードルとなるもの」

13/06/03>>ジェイ 広山 氏

前号(2012年度 小売業売上高概況)では2012年の米国小売業の売上概況を記しましたが、
トラック輸送業界及び倉庫業界の売上速報も出ましたので以下に記します。

小売業の総売上高増減率は「財政の崖」問題に対する懸念などから
前年を3.2ポイント下回る4.9%増に留まった旨を記しましたが、
小売業界と密接にリンクしているトラック輸送業界も
前年を5.1ポイント下回る5.8%増に留まるなど成長にブレーキがかかり、
総売上高は2,283億3,000万ドル(22兆8,330億円、$1=\100換算)となりました。

一方、倉庫業界は、売上の伸びの鈍化によって倉庫需要が高まったせいか、
前年より1.8ポイント上昇した7.3%増と好調で、総売上高は274億4,400万ドル(2兆7,444億円、同)と
なりました。
物流業界は少々門外漢ですので、このあたりで留めておきます。



小売業総売上高及び増減率推移



2012年の業種別前年比売上高増減率



さて前々号(不可欠になっていくマルチチャネル戦略)の続きですが、
小売企業によるオンライン販売の急伸は、ショッピングセンター業界にとって脅威と言えます。

どういうことか言いますと、ショッピングセンターに出店しているストア(店頭)の
売上の消失を意味している
のです。
特に、アメリカと違い、賃料において売上歩合比重の高い日本のショッピングセンター業界を勘案すると、
このこと意味は一層重みを増すのです。
商品を売ることのないショッピングセンターディベロッパーや運営会社にとって、
消費者と小売店もしくはメーカーが直接つながり、小売店の集合体であるショッピングセンターを
介さない売上が急増していることは、ショッピングセンターの存在価値が問われているとも言え、
消費者及びテナントにショッピングの場を提供することで収益を得るという従来のビジネスモデルが
根底から揺るがされている
のです。

また、消化仕入れ比重の高い日本の百貨店業界にとっても大変な脅威と言えます。
前々号でアメリカではデパートメントストアもオンライン売上高を急伸させていると記しましたが、
アメリカのデパートメントストア業界の仕入形態は、日本の原則消化仕入れと異なり、原則買い取りなのです。
ですから、全店及び物流センターの在庫を一元管理し、従業員はもとより顧客にも開示できるのです。
翻って日本の百貨店を考えた場合、消化仕入れ主体のため、在庫管理にも限界があります。
そのため、今後百貨店各社がマルチチャネル(オムニチャネル)戦略を推進していく上で、
このことが大きなハードルになる
と言えます。

但し、メーカーやサプライヤーとの戦略的同盟関係を一層強化し、
日本独自のマルチチャネル販売網を築きあげることも考えられます。

尚、これまではマルチチャネル、オムニチャネルを同義語として扱ってきましたが、
日本ではオムニチャネルという言葉がブームのように広がっているようですので、
次号ではその点について記したいと思います。





オフィス J.K. 代表 ジェイ 広山 氏
ジェイ 広山 氏

1958年東京生まれ。卸売会社の営業及び企画開発部門に勤務後、渡米。 リサーチ会社勤務及びフリーの視察旅行コーディネーターを経て、1987年に友人とともにオフィスJ.K.を設立し代表を務める。日本及び米国の流通業界の生成、発展、展開に関する幅広い知識と全米の商業施設開発(都市開発を含む)に関する豊富な現地調査の経験を有しており、日本百貨店協会、日本ショッピングセンター協会、日本小売業協会の米国流通視察コーディネーターを長年務めるなど、日米両国において多くの団体/企業のコーディネーション、コンサルティング業務、講演会を数多く手掛け、その独自の視点と分析は高い評価を得ている。

・日本百貨店協会 スペシャルアドバイザー
 (季刊発行JDSA USAリテールレポート執筆・編集、2003年~
・日本ショッピングセンター協会 SCアカデミー講師(2007年~)
・国際ショッピングセンター協会 会員
・株式会社丹青社 アドバイザー
・JRグループ 米国流通業界レポート
 (年次レポート:2002~2006年、季刊レポート:2007年10月~)

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