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プロの視点

アメリカ流通業の最新動向(11)「オムニチャネルへの移行が必要な理由」

13/07/01>>ジェイ 広山 氏

マルチチャネル、クロスチャネル、オムニチャネル、シームレスセリング等々、
様々な言葉が飛び交っていますが、これはこうした戦略を推奨している各コンサルタント会社が使っている
言葉が異なっているためです。
いずれの戦略も基本的なコンセプトは同じなのですが混同しやすいので、ここでは敢えて、
マルチチャネルを第1フェーズとし、その後オムニチャネルへの移行というスタイルで記します。

というのも、ストア、カタログ、オンラインという3つのチャネルでの販売、つまりマルチチャネルであれば、
既に小売各社が実施している戦略と同じではないかという指摘があるからです。
既に小売各社が行っている従来の縦割りの組織体制のままでオンライン販売(マルチチャネル戦略)を
強化しますと、顧客を置き去りにした、社内におけるチャネル間の売上競争に陥り

結果的に足を引っ張りあってしまいます。


バリューデパートメントストアのコールズ(本社:ウィスコンシン州、店舗数:1,146店)が
大変興味深いデータを開示しました。
同社の2012年度の売上高は前年比伸び率2.3%増の192億7,900万ドルですので着実に成長しているといえます。
また、オンライン部門の売上高は14億4,400万ドルに及び、前年比伸び率は41.8%増という急伸振りで、
売上高に占める構成比は7.5%に達しています。
にもかかわらず、営業利益高が前年比12.4%減と悪化してしまいました。
下の表をご覧いただくと、その原因は明白です。

オンライン販売はストアの売上の落ち込みを補うだけの伸びとなったのですが、
配送費はもとより返送費も無料といった戦略に伴うシッピングインパクトやハンドリングインパクトが
仇となり、オンライン部門の実質粗利益率がストア部門より10%以上も下回ってしまいました。

また、オンライン顧客獲得を急ぐあまりオンライン限定セールといったオンラインプロモーションを
頻発したため、販売チャネルによって価格が異なるという顧客の価格不信も起こしてしまいました。

つまり、オンライン販売の強化を急ぐあまり、収益力の足を引っ張り、顧客の離反を招いたのです。

こうした弊害を打破するために、第2フェーズとしてオムニチャネルへの移行が必要となるのです。
オムニチャネルでは、企業の縦割りの組織体制を打破した顧客データベース及び
在庫情報の統合が求められます。
つまり、多様化した顧客の選択肢を包括的に取り込む顧客視点に立ったシームレスな顧客接点の拡充であり、
顧客体験、顧客シェア、顧客の満足度の向上が求められるのです。


オンライン販売の強化には、もう一つ大きな課題があります。そのことは次号で。



オンライン販売強化の落とし穴  コールズ(バリューデパートメントストア)の例

コールズ ストア オンライン
2011 2012 2011 2012
売上高増減高(100万ドル) -$175 -$354 $267 $411
前年比増減率 -1.0% -2.0% 37.2% 41.8%
粗利益率 38.9% 37.2% 36.4% 35.4%
シッピングインパクト※ -11.3% -10.3%
実質粗利益率 38.9% 37.2% 25.1% 25.1%

出所:Company report ※:ハンドリングインパクトを含む。




オフィス J.K. 代表 ジェイ 広山 氏
ジェイ 広山 氏

1958年東京生まれ。卸売会社の営業及び企画開発部門に勤務後、渡米。 リサーチ会社勤務及びフリーの視察旅行コーディネーターを経て、1987年に友人とともにオフィスJ.K.を設立し代表を務める。日本及び米国の流通業界の生成、発展、展開に関する幅広い知識と全米の商業施設開発(都市開発を含む)に関する豊富な現地調査の経験を有しており、日本百貨店協会、日本ショッピングセンター協会、日本小売業協会の米国流通視察コーディネーターを長年務めるなど、日米両国において多くの団体/企業のコーディネーション、コンサルティング業務、講演会を数多く手掛け、その独自の視点と分析は高い評価を得ている。

・日本百貨店協会 スペシャルアドバイザー
 (季刊発行JDSA USAリテールレポート執筆・編集、2003年~
・日本ショッピングセンター協会 SCアカデミー講師(2007年~)
・国際ショッピングセンター協会 会員
・株式会社丹青社 アドバイザー
・JRグループ 米国流通業界レポート
 (年次レポート:2002~2006年、季刊レポート:2007年10月~)

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