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プロの視点

若い担当者が語る物流課題 その2

16/9/26>>芝田 稔子 氏

湯浅コンサルティング コンサル 内田明美子が代打で執筆しています。
よろしくお願いします。

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筆者が担当するJILS(日本ロジスティクスシステム協会)講座受講生のレポートから、
ドライバー不足への対策にかかわる印象的な言葉をご紹介し、
若干のコメントを加えてまいります。

「ドライバー不足の対策としては、荷主が配車権を取り戻すべきではないでしょうか」

これは、メーカーの物流子会社に勤務する受講生の意見です。
配送業務のアウトソーシングがすすみ、荷主(物流子会社)が委託先にまとめて輸送依頼を出せば、
トラックの手配と配車は委託先に任せるという役割分担になっていく中で、
委託先のトラックの使い方は荷主には見えなくなり、
「ブラックボックス化してしまった」と彼は指摘します。
トラックの積載率や実車率、回転率のデータがない、
委託先に頼んでデータを提示してもらっても、なぜそのような配車になっているのか、
どうすればもっと効率が上がるかわからない。
このため、ドライバー不足に対応してトラックを節約したいと考えても、
有効な打ち手がない
というのです。

「荷主が配車権を取り戻すべきだ」という主張には、筆者にも共感する部分があります。
筆者なりに言い換えると、荷主が現在の輸送依頼と配車の関係に関心を持ち、
トラックが低効率になっている部分がどこにあるか、
その要因となる輸送条件は何なのかを正しくつかんで、
その変革を主体的に行うべきだということです。

例えば具体的に、トラックの積載率を上げるという課題について考えてみます。
トラックの最大積載量(容積)に対して無駄のない100%の量を積むために、
社内の拠点間の輸送は大型トラック1台分にまとめて行う
あるいは大口の顧客なら極力、注文を1車単位で受ける
このような取り組みは、かつては荷主が輸配送コストを抑える策として当たり前の内容でした。
しかし、現在の役割分担では、これが当たり前ではなくなっています。

その理由は、役割分担というよりも運賃の契約形態の変化にあります。
荷主がトラック1台貸切の運賃を払う場面ならば、
当然、荷主はその1台になるべく多く積もうと考えます。
貸切はかつては運賃契約のメインだったのですが、
現在は「トンあたり」あるいは「ケースあたり」といった「単価制」
運賃契約が多くなっているのです。
公式統計や調査結果はないのであまり断定的には言えませんが、
筆者が直接知る範囲でも、アウトソーシングを進める中で
単価制の比率を高めてきた荷主は多いですし、
荷主コンペでも、単価制(一部、距離制を加味する)はポピュラーな要求仕様です。
荷主において、輸配送コストを物量に応じた変動費にするということは
アウトソーシングの主要な目的の1つなので、
物流事業者もそのニーズに応える運賃形態を提案してきたわけです。

単価制の運賃が適用されると、荷主は積載率を意識しなくてもよくなり、
積載率を上げる責任は物流事業者に移ります。
問題は、ここで物流事業者に課せられる配車の制約条件が大きく、
積載率を高める工夫をする余地がないという場面が多い
ことです。

「翌日の出荷でよければ、全く違う次元で、積み合わせも2回転も検討できる。
しかし、今の条件は当日出荷。残さないように出すのが精いっぱいで、際どい配車はできない」

「最大のネックは、同一時間帯の着時間指定。朝8-9時着指定の顧客が圧倒的に多く、
これを守るために、トラックの効率を度外視した配車を組まざるを得ない」

このように語る物流事業者の配車担当にとって、
日々の配車業務の第一命題は「依頼されたとおりに配車すること」に他なりません。
度外視されたトラックの効率も、時間指定がネックとなれば
これを現場の配車担当者が見直すことはできません。
荷主がその非効率に気付いて事態を変えようとしない限り、
効率は度外視され続ける
わけです。

もちろん、1荷主の中で取り組む積載率向上よりも、
他社の荷物と積み合わる可能性を持つ物流事業者のほうが、
より効果的に効率を上げられる場面もあるでしょう。
しかし一方で、物流事業者が主体的に積み合わせや2回転輸送を行って効率を上げていくには、
日本の物流サービスの標準レベルがあまりにも高すぎるということも、また、事実だと思います。
「翌日午前着」「着時間指定」という制約に縛られながら荷物を残さずに出すためには、
ある程度の余裕をもってトラックを確保して固定的に配車することが不可欠になり、
機動的な積み合わせなどは期待できません。
制約条件を緩めない限り、「プロに任せれば効率が良い」「餅は餅屋」といった
常識は通用しない
ということです。

荷主がトラックの効率に関心を持ち、
非効率の実態と原因となる輸送条件との因果関係を知って、非合理な事態を変えることに力を注ぐ。
この検討には、トラックの効率を反映しない単価制運賃が適用されている場面まで含める必要がある。
荷主主導で「トラックの節約」の具体策を練らないことには、
無駄はいつまでも解消されない。

筆者はこのように考えています。



芝田 稔子 氏

株式会社 湯浅コンサルティング コンサルタント 芝田 稔子 氏
平成4年 早稲田大学人間科学部卒業。日通総合研究所に入社後、調査研究業務や物流ABC導入支援、管理技法の開発等に従事。平成16年に日通総合研究所を退職し現在に至る。著書に「ムダをなくして利益を生み出す在庫管理(かんき出版)」、「図解でわかる物流とロジスティクス(アニモ出版 共著)」など多数。日本ロジスティクスシステム協会講師(物流管理士講座、現場改善士講座、国際物流管理士講座)。日本物流学会正会員。

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