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物流コスト削減 成功事例

『出荷支援システムの全面展開で、現場と事務作業の効率が大幅にアップ』

アロン化成株式会社 様  業種:合成樹脂製品等の製造・加工・販売

アロン化成は、塩ビパイプ・小口径塩ビマス等の製品を軸とする管材事業、電力・通信管事業,介護・生活・住宅分野のライフ・サポート事業、独自の樹脂素材 を提供するコンパウンド事業までを手掛ける会社です。親会社は、瞬間接着剤「アロンアルファ」で知られるである東亞合成株式会社。
「アロン」は、同グループの合成樹脂製品の統一商標であり、同社も1973年の旧2社合併に際しグループ企業として、その名を冠したアロン化成となりました。

導入に至る背景と課題

アロン化成 関東工場 概観

アロン化成 株式会社
事業支援部システムグループ グループリーダー
神山 雅俊 様

アロン化成 株式会社
物流管理室 室長
石川 和彦 様

アロン化成の主力事業部門は、売上の約7割近くを占める管材事業。
塩ビパイプや排水マスなどの管材が中核製品となっています。
この管材事業の受注形態は大きく分けて2つあり、一般受注(ルートセールス)で代理店等にケース単位で納品するものと、物件受注(公共工事等)で現場に直接必要な商品を納品するケース。
とくに物件受注の場合は、現場に間違った製品を届けては工事をストップさせてしまうため、正確性が必須条件となります。もちろん、約束の時間までに確実に届けられるかも工事の進捗を大きく左右するため。正確・確実・迅速なサービスが求められます。

「管材製品ではJIS規格化が進み、各社独自の特徴もあるとは言え、基本機能は同じなので取替えが効きます。
だから物流サービスの良し悪しが、他社製品との差別化の重要ポイントになっているのです」と同社物流管理室の石川室長。

以前、尾道工場から関東の顧客への納品に2日を要し、「それでは工事に間に合わない」と機会損失につながったこともあったようです。
また、管材の品目数は数万以上と多く、マス・マンホールだけでもわずかな形状や口径などの違いで数千の品目数があるため、出荷ミスも少なからず発生していたようです。

「従来、工場・倉庫や委託倉庫では、製品コード(数字)や商品名(文字)を目視で区別しピッキングしていましたが、ミスはなかなか減らせずにいました」と石川室長。 そこで、正確・迅速な出荷作業が誰にでも実現できる新システムの構築が必要だと決断されたのでした。

システム導入の目的と成果

事業支援部システムグループの神山リーダーに、新システム導入の目的と成果を紹介していただきました。
「正確性だけでなく、“CS(顧客満足度)の向上"で差別化を図り、競争力を高めるために、4つのポイントを重要課題として取り組みました。

1. バーコード化とロケーション管理

ピッキングの際、送り状や荷札などと製品ケースのバーコードをハンディ端末で照合し、誤出荷ミスを撲滅。さらに製品とロケーションを紐付けし、ピッキング作業を大幅に効率化しました。

2. 配送確認の自動システム化

工事現場から、「トラックはもう出たのか」「いつ届くのか」などの問い合わせが毎日多数寄せられていました。
これを受ける営業や倉庫の担当者は、注文書から送り状を探したり、運送会社に問い合わせに忙殺され、顧客を待たせてしまう状態でした。
そこでシステム化の一環として全運送会社の送り状をアロン化成仕様に統一し、自社で送り状番号枠を管理。製品明細と送り先などの詳細データを紐付けできる 仕組みとしました。 さらに自社Webサイトの出荷問い合わせページに顧客や営業マンがIDとパスワードでログインすれば、取引先の注文番号などから送り状番号を確認し、さら に各運送会社の貨物追跡ページにリンクして、すぐに貨物状況を取得できるようにしました。これにより問い合わせも減り、返答待ちも無くなるなどCS向上に 役立っています。

3.分散システム化

従来は本社のホストコンピュータ(メインフレーム)の稼働時間に合わせたシステムだったので、夜間や土日には出荷作業ができませんでした。
これが出荷支援システムの導入によって、工場・委託倉庫の各サーバで分散処理し、指図データさえ受信すればいつでも出荷作業ができるようになりました。

4.運賃分析

送り状番号と製品明細情報が把握できているので、それに運賃の請求データを紐付けすることで製品別・地域別・工場別・運送会社別など、自在に運賃分析が行えるようになりました。

システムの導入プロセスにおける課題

ケース品ピッキング作業の様子

荷札と製品バーコードの読み合わせ作業の様子

同社の出荷支援システムはユーザックシステムに構築を依頼し、2001年、関東工場の物流IT化を第1ステップに、5年の歳月をかけて全国の工場・倉庫と委託倉庫へと順次展開され、定着されてきたものです。

「第1ステップとして、バーコードを活用した品目照合、及びロケーション管理までとしました。長年続けてきた目視でのピッキング作業からいきなりロケー ション別入出庫の数量管理までコンピュータ化しては、現場に拒否反応が出てしまう。現場が喜んで使ってくれなければ、いくら立派なシステムも意味がありま せん」と神山リーダー。

ある工場で相変わらず誤出荷率が下がらない作業者がいるので調べてみると、ハンディ端末でのバーコードスキャンが行われず、作業者は従来の目視確認を続けられていました。現場には作業のやり方を変えるのに大きな抵抗感があったようです。

だから一歩ずつ・確実にという同社の方針は、現実を直視した実践的な手法だったと言えるでしょう。また同社製品ケースへのバーコード印刷も、この数年をかけて100%に持ってこられたのでした。

この出荷支援システムは,ユーザックシステムのパッケージシステム「伝発名人」をベースに、現場の要望をまとめてカスタマイズされました。「機能的には工場を横展開しながら順次発展させて仕上げてきました。机上論だけでなく実践的に現場の声を聞きながら,機能を充実させました」と神山リーダー。

「正確性だけでなく、“CS(顧客満足度)の向上"で差別化を図り、競争力を高めるために、4つのポイントを重要課題として取り組みました。

システム導入の成果と今後の課題

動き出した“3大物流拠点"構想

「出荷支援システムの導入効果としてまず挙げられるのは"出荷ミス削減"と"作業効率の向上"です。とくに本年模様替えをした西日本デポ(高槻市)では、従来は月に10件はあったミスが、今は年間4件程度と30分の1にまで減少しました」と、石川室長。 この5年で同デポの扱い品種は2000から5000へと2.5倍に増え、出荷量は約1.4倍に拡大しているにも関わらず、作業人員はほとんど増加する必要がなかったと言います。

第1ステップが定着したことで、同社は引き続き無線バーコード端末によるロケーション別入出庫管理の導入を検討中。リアルタイムの作業進捗管理・在庫精度向上など、第2ステップとして一層のシステム高度化を目指した計画が進行しています。

工事現場では配送迅速化に加え、注文した商品が複数の倉庫からバラバラに届くのではなく、まとめて届けられないかとの要望も強くありました。そこで、注文 の翌日に一括して全国主要都市に配送可能とする物流サービス体制の構築を決定。そのためには出荷拠点を分散化することが早道だが、むやみな分散化は負担が 大きくなるため、検討の結果、東日本デポ・中部デポ・西日本デポの「3大物流拠点体制」の構想が練り上げられました。

既に「西日本デポ」は2006年5月から大阪府高槻市の高槻事業所内に設置し本稼働。続いて「東日本デポ」は同年年9月4日から埼玉県越谷市で稼動を開 始。「中部デポ」は名古屋工場内に新倉庫を設置し、2007年3月を目途に稼働させる計画。3大物流拠点には,今後各工場で生産する管材製品のほぼ全アイ テムを揃え、取引先に対し一括納品を実現する予定となっています。

「これによる物流サービス向上で“困った時にはアロンに頼もう"とお客様の評価を得られれば……」と、石川室長は期待されています。

倉庫現場の概要と出荷準備

アロン化成 関東工場

アロン化成 関東工場は茨城県古河市にあり、敷地面積は約28,000m2。
塩化ビニル製継手・小口径マス等の射出成型製品ほか、管材事業関連製品約800品目を生産している。だが在庫する出荷対象品としては,他工場受け入れ品を合わせ、パイプ200、継手等2800の合計3000品目ほどになるという。
倉庫は第1から第5までの5棟があり、事務所2名で1日700~1000件程度の出荷デリバリー作業を担っている。現場は午前に倉入れ、午後はピッキング・出荷作業に充てる。
受注締め時間までに入力された注文品を主要都市の顧客現場(パイプは南関東エリアに翌日午前中までに届ける。

佐藤工場長(現 名古屋工場長)

佐藤敏通工場長(取材後に名古屋工場長に異動)は、「この数年で取扱い品目は2000から3000に増え、出荷量も4割ほど増えていますが、担当者の数は増やさず対応できています」と出荷支援システム導入の効果を語る。

関東工場内の業務事務所

出荷作業の司令塔となる業務事務所。

ピッキングリストと荷札の発行

オーダー締め時間になったら、出荷支援システムが品目別・倉庫別・ロケーション順等に整理したトータルピッキングリストと梱包単位に貼る荷札を自動出力。

ピッキングリストと荷札は準備できたら出荷作業者に渡し、ピッキングが開始される。

送り状の発行

事務所では、さらに届け先別にまとめた送り状を発行する(5)。

送り状は前述の統一仕様で、運送会社別に仕分けて準備し、トラックが到着したらドライバーがこれを取りに来る(6)。
送り状番号もついているので即日、貨物追跡ができる。
システム導入前は、送り状を基に業務事務所でオーダーを手打ちして荷札を作り、倉庫ごとに手作業で振分けていた。同じ顧客の注文をまとめるのも手作業だったから、省力化・効率化の効果は大きく、事務所の人員は5人から2人に削減できた。

配車作業

司令塔のもう1つの重大な役目が、パイプ輸送を担う常用チャーター便の配車作業だ。

まずオーダー伝票に番号を振って顧客ごとに振り分けてから、積載率計算と同時に、効率的なルートを地図で組立てながら、どの客先向けの・何を・どれだけ・どんな順序で・どの車に・できるだけ一杯積み込めるよう、すべてを決めて行く。
一車当たり「遠い順に6~7件」のコースを決める届け先は主に工事現場であり、伝票に住所が記載されていないケースもある。
そんな時は、送り状にFAXで届いた地図を添付するのも大事な仕事だ。この作業を素早くこなしているのは、この道のプロである総務課の大里桂子さん。
積載換算は200径のパイプ80本で4トン車が満載になる計算だ。換算率を手計算して書き込み、ケース品の混載もあるから組み合わせ、積載効率の最大化・運賃の最小化に努める。
常用車両は4トンと2トン、平車とウイング車で十数台。足りない時はスポットで当日中に手配しなければならない。大里さんは「確かに忙しい仕事ですが、出 荷支援システムのお陰でデリバリー事務を2人で対応できるようになりました。今検討中の無線端末が入ればリアルタイムで入出庫管理ができ、棚卸なども作業 時間が短縮できると思います。さらに配車作業もシステム化できればいいですね」と話す。
2人体制だから休みは取りにくいのだが、若手にも配車作業を実地教育し万一の準備も怠りない。工場長も出荷管理はすべてこの2人にお任せだ。

物流現場はこうした“地上の星"たちに支えられているのに違いない。

ケース品出荷作業の流れ

生産ラインから出庫

(8)は、本工場の継手生産ラインの末端。
梱包後の完成品がコンベヤを流れてきたら、これを作業者が製品別にパレタイズして準備。仮置き場に移動後、午前中に所定の倉庫に棚入れしている。

倉庫とパレットラック

工場内には5か所の倉庫があり、製品群別にロケーションを分けている。プラスチックパレットは、1440×1140㎜の大型サイズだ。

ピッキング品の出庫

先に路線便向け出荷作業の大まかな流れを辿ると、作業者は業務事務所で受け取ったピッキングリストと荷札から1回分を取り出し、これに従ってフォークリフトで集品(10)。

仮置きエリアのケース品

揃ったら倉庫前の仮置きエリアに、運送会社別に並べて行く(11)。

トラックへの積み込み

路線便のトラックドライバーは、やはり業務事務所で受け取った送り状で指示と合っているかを確認しながら、これをトラックに積みこんで行く。
工場間移動はパレット輸送だが、顧客向けの場合はパレット流失を嫌い、直積みとしている。

ケース品のピッキング手順

パレットへのピッキング

出荷支援システムによりバーコード化されたピッキングの手順を辿ろう。
まず作業者はリストに示されたロケーションに移動し、指示された製品を先入れ先出しでケースピッキングして、パレットに積む。

読み合わせのため、荷札のバーコードをスキャン

荷札と製品バーコードの読み合わせを行い、次に荷札のバーコードと製品ケースのバーコードを、写真の小型リーダ(キーエンス製)で読み合わせる。

製品ケースのバーコードをスキャンし、ピッキングミスを防止

これは無線端末ではなく、互いのコードの一致を照合するだけのシンプルな運用にしている。品目が違えばアラームが鳴るので、品目ミスを絶滅できた。

荷札の貼り付け

最後に荷札をケースに1枚ずつ貼り付け、作業は完了。
出荷ケースの数だけ荷札が出力されるので、いわゆるラベルピッキング方式となり数量も間違いようのない仕組みになっている。

塩ビパイプのピッキングと出荷

塩ビパイプのピッキング

最後に、工事現場直送のチャーター便に積み込む塩ビパイプの作業。4m長が基本の長尺物だ。
フォークリフトのフォークをオペレータが微妙に操り、束で、あるいは1本単位でピッキングしていく。

トラックへの積み込み

ピッキングした塩ビパイプを、配送ルート逆順にトラックに積み込んで行く。
ただし重い物を上に積むと下段の製品が損傷する恐れもあるから、業務事務所の配車・ピッキング指示はそこまで考慮し作成される。
パイプの積載が終わったら、今度は荷台前方のスペースにケース品を積み合わせ(18)、これで現場向けの積み込みが完了する。

ピッキングリスト

塩ビパイプにはバーコードが添付されていないので、看板方式でバーコードと品名を表示。フォークリフト・オペレータは看板とピッキングリストを照合しながら1つ1つチェックしピッキング作業を進めている。
以上の積み込み作業をすべて終えたら、ドライバーはチェック済みの送り状を業務事務所に提出、事務所では控え伝票と照合し遺漏がないか再チェック。これで初めて出荷OKとなる。
「チャーター便の積み込みが完了するのが最終6時くらい。出荷支援システムの導入で、2人でも以前より残業は減りました」(大里氏)

管材は公共工事を含め、毎年盆明けから年末にかけて需要が高まる季節波動があるのだが、それにも十分対応可能という。
物流に関わる事務と現場作業のシステム化で、如実に効果が得られた事例といえるだろう。

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