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プレミアムコンテンツ 湯浅和夫の「物流の常識・非常識」

No.35 「ラスト1マイル」を考える :2011/5/9配信
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今回の大震災で、物流が脚光を浴びました。

こういう形で物流が注目されるのは決して好ましいことではありませんが、
物流が止まると日常生活が破綻するということを如実に示したといって過言ではありません。
物流は縁の下の力持ちとか経済や国民生活を支えているのが物流だとよく言われてきましたが、
まさに物流は経済や生活のインフラとして存在しているということを改めて実感させられました。

これまで、この連載で「ロジスティクス」という概念について述べてきました。
今回の震災にかかわる形で言いますと、何千という避難場所に必要なものを必要なだけ届けるために物資を調達し、
各避難場所に向けた輸送手段を確保し、適宜に輸送指示を出すという役割を担うのがロジスティクスです。

ただ、今回この役割は機能したとはいえません。
もちろん避難場所の中には連絡さえ取れなかったところが存在したこともあり、
避難場所のニーズが把握できなかったということもありますが、
なんといっても、最大の要因は物流が機能しなかったからです。

避難場所のニーズがわからない場合、最後は見込みで送り込めばいいのです。
ただ、いくら見込みで送り込もうとしても、そこへの輸送ができなければどうにもなりません。


もともとは通信の用語で「ラスト1マイル」という言葉があります。
最寄りの電話局からユーザー宅までの接続回線を指し、電話局までは安くて高速な通信が可能だが、
最後のユーザー宅への接続には通信速度やコスト的に課題が多いという意味合いで使われますが、
まさに物流でも同じです。

拠点までの物流はいかようにでもなるが、
最後の拠点からユーザーに届ける「ラスト1マイル」に課題が多いということです。
特に今回の震災のように、残念なことに「ラスト1マイル」の輸送が不可能になると、
それ以前の拠点までの活動はすべて価値を失ってしまいます。

その意味でも、最後の配送の重要性をいやというほど実感させられたといえます。
いくらロジスティクスを展開しようとしても、物流が弱ければ何にもならないということです。
よく「現場が弱ければロジスティクスもSCMもないよ」などと言われますが、たしかに、そのとおりです。

ただ、一言付言しておきますと、「もともと現場が弱い企業にロジスティクスなど存在しえない」ということも
一面の真理です。


今回の震災に接し、感じたこと書きました。
被災した方々にお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興を切に祈ります。



湯浅和夫氏のプロフィール

株式会社 湯浅コンサルティング 代表取締役社長
1946年埼玉県生まれ。早稲田大学卒業後、(株)日通総合研究所に入社。同社常務取締役を経て、2004年4月(株)湯浅コンサルティングを設立し代表取締役社長に就任、現在に至る。(財)食品流通構造改善促進機構「電子商取引導入推進検討委員会」、国土交通省「自動車税制研究会」、(社)日本ロジスティクスシステム協会「物流技術管理士専門委員会」など歴任。著書多数。

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